アーユルヴェーダの全体的な治療の見通しは大きく2つに分類されます。
(抜粋)
1.予防的治療:(Swasthasya swastaya samrakshanam:サンスクリット語)
2.治癒療法(Athurasya vikara prasamanam:サンスクリット語)
(受講テキストより)
パンチャカルマは何か、という前に私達の「治療」の価値観を変える必要があります。
なぜなら、インドのアーユルヴェーダでいう「治療」と私達日本で通常行われている「治療」の対象が違うのです。
日本での西洋医学の「治療」は、病気の症状のための治療です。
アーユルヴェーダの「治療」は、患者さんと病気の原因のための治療です。
私はどちらも必要だと思っています。
火事が起こる=病気だとしましょう。
発火し、家が焼けている状態で、消防車がきて消火してようやく火が消えました。火が消えた後の家の片づけも消防車の労力も尋常ではありません。
同じ発火ですが、においがしたので、すぐ気づき、バケツ一杯で火を消す事ができました。幸い壁が少し焦げたぐらいですみました。その後、火災報知器を付けました。
生命保険に加入し、病気になっても入院費を用意できるようにお金をかけているのに、体の「火災報知器」をつける事はあまりしません。早期発見、早期治療は手術をしたり、高価な検査を受ける事ではなく、一時的な頭痛や腹痛や便秘やニキビだって実は立派な疾患予備軍なのです。それに気づけるかどうか、です。
火災報知器はアーユルヴェーダ、消防車の消火活動は西洋医学、そう考えるとどちらも必要です。でも、どちらが体(家)に負担がないか、と考えると答えは簡単ですね。大火事にならないための予防医学であり、アーユルヴェーダは予防医学の最高峰といえます。
数年前、私は、患者さんに頼まれて、デリーのドクターに問合せをした事がありました。「頭痛がひどくて、肩こりもひどいので、何かいい薬はありますか」と。
すると、そのドクターは
「患者さんに会って話して、顔や体温をみて、その人の状態がわからないのに疾患だけで薬はだせません」と。
本当にその通りです。症状だけで薬が選べるのは西洋医学の方法です。アーユルヴェーダは「どうして頭痛がするのか」を診察し、その原因を解消します。
戦後73年、西洋医学は瞬く間に急発展し、あっという間に常識を作ってしまいました。その当時は必要でした。今も場合によっては必要ですが、昔ほど必要なのでしょうか。73年前と今の私達の医療事情は一緒でしょうか。
インターネットが発達し、知らない国の知らない事がわかるようになりました。少しでも、こんなブログでアーユルヴェーダという存在や、考え方に触れるきっかけになれればと思って、書いていきます。